第1章

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何より重要なのは、水だ。 空腹が抑えられている今なら、食い物よりは水だと、俺は結論づける。 とは言ったもののこの近辺には、川や湖が無いのは、確認済みだ。 なら……歩けるうちに移動するのも悪くない。 自分に言い聞かせるよう、少しずつ歩を進めた俺は、 「見つけた!!」 木々になる、果物らしき物を発見した。 水では無かったが、充分水分を得られるのではなかろうか。 だが、いくつか問題がある。 1つとしてこれは……なんだ? 青みがかった緑色をしているそれは、形としてはリンゴのようだが、感触にしてはミカン等の柑橘類のようだ。 匂いからして桃のようなみずみずしさを感じさせ甘味の香りが漂う。 こんな果物……見たことも聞いたこともねぇ…… 第一、毒はあるのかないのか、さっぱりわからん。 ただ、甘味のある匂いに体が欲するように、腹がなり、口が、いまだ感じでいなかった渇きを感じた。 ……ゴクリッ! 唾を飲む音がまるで静寂のなかシンバルを鳴らしたように、大きく聞こえたのと同時に、自然と果物であろうそれに口を近づける自分がいた。 毒があったらどうするとか以前に本能が欲するまま俺はそれへと口をつけた。 シャリ…… ひとかじりしたそれは、やはりリンゴのような食感で、それほどみずみずしさは感じなかったが、くどさのない甘味にやられ自然と食べ進めた。 味を噛みしめ、ひとつ平らげると、徐にひとつ、またひとつと手を伸ばす。 「ふぅ……」 5つ程平らげた後、近くの大きめの石に腰かける。 気づけば、辺りはもうすっかりと暗くなり、フクロウのような鳴き声が辺りの静けさを感じさせた。 普通なら、こんな真っ暗の中果物らしきそれを見つけることは出来なかったはずだ。 自らの幸運に喜びを噛み締めつつ、無意識のうちに石から腰を降ろして考える。 本当にここは何処なんだ? その場に横になり、危険ではないかと案じたが、空腹が満たされたことによる一息の安心感から意識を手放すのであった。 コロネの生クリームとチョコの配分はね、ん~こんなもんかな?後は搾ってチョコつけな。 分かった?じゃあ次からよろしく。 夢を見た。
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