第1章

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入社して始めてやらされたのはチョココロネの仕上げ、パンが焼き上がり冷めた後、チョコクリーム入れる簡単な作業だった。 だが、あれだ。配分はないのだろうか。いや、あるに決まっている。なんせうちのパン屋は大手の会社のチェーン店みたいなもんで、レシピは送られてくる。 新人な俺は、口にすることなくやるのは当たり前で、只ただ手を動かす。 だが、やはり当初入ってからすぐに思ったのは、入るとこ間違えたか?だった。 店長も店長で人が悪い、パートさんに俺を押しつけほったらかし。 そんなこんなで、毎日過ごしても覚えていくはずもなく、叱られる毎日……とほほ。 数日経って窯にたち、パンを焼く工程へいくのだが、パンを焼くにも種類によって、温度が違うのは当たり前。 只それもレシピどうりではないのは確かである。まあレシピなんてものは、あくまでレシピなのだと、実感したのは、暫くしてからだった。 仕上げ工程から釜焼き。火傷もした。何度だってしたさ。 だけど、火傷した数だけ次は気を付けようとより励んだ俺は自然と火傷の回数も減り、パンを焼くコツを上達していった。 プチんと、映像がキレたような感覚に、目を開ける俺は、これは現実かと実感する。 目が覚めて、食堂であったならば、どれだけよかったであろうか。 しかし現実はそう甘くはないのである。 辺りは日が登り木々が覆い隠したほんの少しの日射しが、とても心地よかった。 近くで鳴く鳥のさえずりが朝であると実感できる。 さて、これからどうしたものか。 昨日お世話になった、桃リンゴ……勝手に命名にかぶり付き、考える。 もう、此処が何処かなんて知ったことではないが、ここにいつづけるわけにもいかない。 はぁ……。 優柔不断な俺は、前へ進めずにいた。 ここにいれば少なくとも、食に困ることは、暫く大丈夫だ。だが、それではいつまで経っても話が進まないわけでありまして、ふむ。 ああ……こう言う時程サバイバルの知識が欲しいと切に思う。 「移動するにかどうしよもない、どうにでもなれ」 有言実行、俺の座右の銘。 言ったからには、行動しろ。 俺は歩きだす。何度目かの行動。 この行動が、幸でるかは知らないがやってみなきゃわからない。 そう、いつだってそんなのは神のみぞ知るってやつさ。
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