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「谷原さんの事…
やっぱ好きだったんだ?」
袴田さんの質問に苦笑いする。
どうしょうもなく込み上げる
敗北感と悔しさで拳に力が入った。
「月島ってさ…
何をやっても完璧なんだよ昔から。
同じ男として嫉妬するくらいにね。
あの容姿で金持ちで
真っ直ぐで、しかもお人よし。
だけど唯一アイツのダメな部分は
女を見る目と酒に弱いトコ。
元嫁は完璧に月島財閥が目的で
アイツにしがみついてたのに
それに気付けなかった。
いいように利用されてるだけなのに
それでも元嫁を本気で信じてさ…
だから桐生君には申し訳ないけど
谷原さんみたいな子と
やっと出会えたアイツには
今度こそ幸せになって欲しいって
俺は思うんだよね。
躰の相性も抜群みたいだしさ」
そう言って小さく笑った袴田さんは
よほど月島って人間が好きなんだろう。
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