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翌日からいつも通りの時間に
私は駅に向かって歩いていた。
「葵さん?」
後ろから聞こえた柔らかい声。
ゆっくりと振り返った先には
不思議そうな顔をした桐生。
「月島と一緒に
出勤じゃないんですか?」
間違いなく聞かれると
思っていた事だけに
平静を装ってそれに答える。
「派遣社員の分際で
秘書にお出迎えされるのは
さすがに気が引けるでしょ」
「フッ…」
小さく笑った桐生は、昨日とは
違って吹っ切れたみたいな表情で。
さすが割り切りの早い男。
だけどこの距離感が私と桐生は
一番居心地がいいんだと思う。
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