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月島さんには桐生の元には
戻らないと宣言しておきながらも
やっぱり私は桐生を
見捨てる事なんて出来なかった。
桐生のお母さんの御遺体の
確認へと向かうタクシーの中
片時も私の手を離そうとしない
桐生の手を振り切るなんて出来ない。
真っ直ぐ前を見つめたまま
淡々と子供の頃の事や
お母さんの事を話す桐生の言葉を
黙ったまま受け止める。
彼が誰かを愛する事に
どうして臆病だったのか
全ては桐生の生い立ちが
大きく影響して来たと理解出来た時
自然と私の頬に涙が伝った。
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