母性

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桐生のお母さんの自殺の理由は 遺書がないだけに分からなくて。 たぶん桐生は素直に母親を 愛せなかった自分を 責めているのだと思う。 それが痛いくらい伝わって来て 私も言葉なんて何も 見つけられないままだった。 「だけど…葵さんごめん。 今は俺の傍にいて。 永遠じゃなくてもいいから」 包み込んだ背中に耳をあてて じっと聞いていた私に 桐生は念を押すように呟いた。 「ただ…今は一緒にいて」 その言葉が痛いくらい沁みる。
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