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店を出て駅方向に向かう道を
走って桐生の背中を探した。
歩くのが早い桐生だけに
人の流れの中にその背中が
なかなか見つけられなくて
無性に不安が募る。
それでも必死に走り続けていると
少し先に見えた桐生の横顔が…
橋の途中で流れる川を
ぼんやりと見つめていた。
「桐生!」
駆け寄った私にゆっくりと
向けられた氷の瞳。
「…ふ…」
小さく笑った桐生は
再び川の水面に視線を戻す。
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