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澄みわたる青空に映える、満開の桜の樹。お花見、日向ぼっこにぴったりの暖かな陽射しと、優しい風。
薄いピンク色の木漏れ日に目を細めながら、幸せに満ちた真ん丸のお腹をなでる。
「もうすぐ会えますねー」
声はもう、届くらしい。
返事はなくても、聞こえているそうだ。
ぽこぽことお腹を蹴られるのは相変わらず不思議な感覚。
夢の残像をあくびと一緒に追いかけようとして、お腹をなでながらまた桜を見上げると。
「そんなところで昼寝してると、毛虫が落ちてくるぞ」
と、仕事を早退けしてきたらしい主人が言う。
「ちょ、やだ!毛虫はやだ!……って、虫が嫌いなことが赤ちゃんに知られちゃうじゃない!」
あわてて飛び起きる私に、あわてて手を貸す主人が「赤ちゃんがびっくりしてひっくり返るよ」と、神妙な顔をする。
なんだかおかしくて笑っちゃう。
「あ、ねぇ。名前決めたんだけど」
「唐突だな。聞かせてよ」
「うん……でも、その前に……病院かな……」
「……えっ!?」
いたたたた、とお腹を抱える私を、あたふたと車にのせて、春風を置いてきぼりにした。
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