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「桐生君は…
葵を本当に幸せに
出来るんですか?」
「…それは…」
言いかけた俺の言葉を
月島が遮る。
「葵が本当に離婚を乗り越えるには
確かな愛情を与えてあげなくては
無理ですよ。
彼女は…裏切られる事が
何よりも怖いんです。
それが約束出来ないのであれば…
僕は桐生君に葵を渡せません」
「…俺は…」
「その答えも…
袴田の件が分かった時に
もう一度お会いしてお話し
しましょう。
ひとつだけ桐生君に
言っておきます。
葵が求めているのは…
”永遠”です」
ニコリと微笑んだ月島は
レシートをすっと手に取ると
席を立った。
レジで俺の分までコーヒー代を
払って店を出て行く月島の背中を
見つめながら俺は感じていた。
…俺の負け…かもしれないと。
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