敗北感

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彩音の事もあれっきりだったし きちんと終わらせたのは美紀だけで。 他の女とは全部中途半端。 今の俺が何を言っても、 葵さんが信用するはずがない。 結局開いた携帯をまた閉じて 駅の改札を抜けた。 九段下を降りて、坂道を登って行くと 反対側から歩いて来た人影が 街灯の明りに照らされて浮かび上がる。 「桐生君こんばんわ」 またかよ。 そう思いながらその男、 結城大河に会釈した。
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