重ねた心

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「袴田さんのやった事は 確かに酷いとは思います。 俺のお袋を追い詰めた事は 決して許される事ではない。 だけど… 最終的に死を選んだのは お袋であって、袴田さんは 俺のお袋に死ねなんて 一言も言ってない。 ただ、俺と共にここから どこか遠くの地にでも 引っ越してくれと 言っただけなんです。 最初にその文書を見た時は 頭に血が登って… 俺も冷静に考えられなかった。 だけど今、こうして葵さんが 俺の隣にいてくれるから 冷静に物事を考えられるように なりました。 葵さん、ありがとう」 ニコリと微笑んで オフィスに入って行く 桐生の背中を見つめながら やはり揺れてしまう私の瞳。
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