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「桐生さん、頑張って」
微笑みながら言ってくれた
澤木さんに親指を立てると
閉じかけた扉の向こうで
澤木さんは笑いながら呟いた。
「大好きだったよ」
閉じた扉を見つめながら
俺は小さく笑う。
…返事も言わせないとは
さすがプライドの高い
澤木さんらしい告白だな。
もう二度と彼女と会う事も
ないのかもしれないけど
静かに下降して行く箱の中で
俺はポツリと呟いた。
「ごめん澤木さん。
だけどありがとう」
彼女の想いも、
月島の想いも、
何があっても無駄にしないように
俺は、一番大切な人を捕まえに
小さな箱から飛び出した。
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