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テレビではそれ以上は生中継に戻ることはなかった。
スタジオには解説員として心理学だか精神医学だかの教授が来ていて、アナウンサーがその教授のおじさんに話を聞いていた。
「やだ…県内じゃない…。
夕姫も気をつけてね。
最近は物騒になってきたから…。」
そう言うと母はリモコンでテレビを消して、夕姫に笑いかけた。
夕姫はその様子を見て、苦笑いをして、立ち上がり、学校に行く準備をした。
「行ってきます。」
夕姫はあまり元気とはいえない声で母にそう言うとすぐに玄関を出て、学校に向かった。
夕姫は地元の北中学の二年生でその15分ほどの道程を重い足取りで向かった。
彼女にとって学校は地獄だと言える場所だった。
夕姫が学校に着くと前から女生徒達が来て、夕姫に話しかけた。
彼女は嫌味な顔で迫ってくる。
「おはよう、時任さん。」
なぜかその少しの言葉に棘を感じた夕姫は彼女達が去っていく背中を見るとすぐに、自分の下駄箱に行って、上履きを覗いた。
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