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―ドサ…
勇気の上に少女は落ちた。
「う…」
少女は勇気に覆いかぶさる形になってそのまま勇気の顔を見つめた。
「あ…ごめん…。」
少女は何の抵抗もないかのようにサッと立ち上がると寝そべったままの勇気に向かって小さく言った。
「ただ眺めていただけなんだけど…。」
その声は冷たく、冬の風のようだった。
少女は横目で勇気を見るとサッと身を翻してまた南の壁に近寄っていった。
「え…あ…ごめん。
てっきり自殺するためにそこにたっていたのかと…。」
勇気は冷や汗をかきながら苦笑いした。
その様子を見た少女は真顔のまま壁に手を付いた状態で勇気を見ていた。
勇気には何を考えているのかよくわからなくて次の言葉に困った。
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