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彼はずっとガタガタと身体を震わせて俯いて呟いていた。
まるでそこに梨奈と勇気がいないようにひどく混乱して座っていた。
「おじさん…?」
梨奈は腫れ物に触るように静かに呟いてゆっくりと泰三の肩に手を伸ばした。
「君達!知らないか?
夕姫は…夕姫はどこに…。」
その途端に切迫した赤い目の泰三が顔を上げて大声を上げたので驚いて息を呑んだ。
梨奈はその様子を見て細かく首を横に振った。
それを見た泰三はまた俯いてブツブツと呟き始めた。
「おじさん。
…捜すから、
私、夕姫見つけてきますから…。」
梨奈は痛そうな顔をしたままそう告げると、勇気に目配せをしてその家を後にした。
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