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―プツン…
それはまるで糸が切れるようだった。
夕姫にはその感覚が何度か味わったことのあるものだとわかった。
『夕姫、あんたってほんとお人よしね…。
お金持ってないからって食べることも出来ないなんてバカバカしい。
こんな食べ物が溢れているのに…フフフ…』
夕姫は軽やかに立ち上がると坂道の脇にあった民家の生垣の中へ入っていった。
夕姫の意識はそれを拒んだ。
しかし、自分の体が自分のものではないように勝手に動いてどんどん遠慮もなく中に入っていく。
縁側にたどり着いた夕姫はその家を眺めると灯りの灯った窓に向かって右手を左から右に振った。
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