矛先

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夕姫はそのビニール袋から取り出した林檎をかじりながらとぼとぼと歩いた。 後ろの方で何か騒がしい人の声がしても振り返ることはなかった。 しばらく夕姫はそうして歩いて坂を上りきると街灯の多くある道路に出た。 どうやら国道に出たらしい。 その国道は夕姫の住んでいた町に通じている。 夕姫はさらにそれをそちらとは逆方向に進んだ。 その方向にはその市の中心街と呼べる町の方向で夕姫はその灯りに集っていくようにフラフラと歩き出した。  後ろの方から幾つかのパトカーが通り過ぎていく。 その様子を横目で確認するとまた林檎をかじった。
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