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「火、好きなの。」
柴田はそう言った夕姫を見て頭が真っ白になり固まった。
夕姫はそのままふっと空を見上げるように火を眺めながら腕を持ち上げた。
すると炎が立ち上った。
まるで生き物のように蠢いた。
その炎は風に煽られて大きくなるとすぐにまた頭を擡げた。
その先は消防をしている人やそこに集まる野次馬の方向だった。
火は見る見るうちに人々の上空に迫っていく。
「きゃぁぁ!!!!」
その叫び声と共に赤黒い炎は人々のいる地上まで降りた。
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