海と空と…

2/20
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
夕姫は3回ほど飛んだ。 駅から出てその方向へ。 しかし、その3回で、もう体力的に限界だとわかった。 それ以上その力を使ってしまうと、意識をやつに奪われるだろうということが予測できた。 なるべく心を沈めて、ゆっくりと進んだ。 坂を下り、林が見えてきた。 その周辺には人がたくさんいた。 当然だった。 所謂観光地で、なにやら美味しい匂いまでしてきた。 フランクフルトの匂いが食欲をそそる。 しかし、お金はもう持っていない。 夕姫はもう覚悟を決めたから、盗んでしまったものは駅に置いてきた。 警察に届けるのが筋かも知れないが、警察に行って捕まってしまうのが一番に恐れることだった。 その時にはもう自分は自分でなくなり、完全な悪魔に成り下がるだけだ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!