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夕姫は3回ほど飛んだ。
駅から出てその方向へ。
しかし、その3回で、もう体力的に限界だとわかった。
それ以上その力を使ってしまうと、意識をやつに奪われるだろうということが予測できた。
なるべく心を沈めて、ゆっくりと進んだ。
坂を下り、林が見えてきた。
その周辺には人がたくさんいた。
当然だった。
所謂観光地で、なにやら美味しい匂いまでしてきた。
フランクフルトの匂いが食欲をそそる。
しかし、お金はもう持っていない。
夕姫はもう覚悟を決めたから、盗んでしまったものは駅に置いてきた。
警察に届けるのが筋かも知れないが、警察に行って捕まってしまうのが一番に恐れることだった。
その時にはもう自分は自分でなくなり、完全な悪魔に成り下がるだけだ。
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