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自分の頭脳に悲しくなりながらもソファーでウンウン唸りながらワークをめくっていると風呂を終えた晴臣がどさりと隣に腰を下ろした。
濡れた髪をタオルでがしがしと拭いながら俺のワークを覗き込む。
「どうだ?」
「ううーん、たぶん、ここまでは、わかる?かも?」
「はぁ…ちょっとそれ寄越せ」
わかってないのが普通にバレた。てへ。
大人しく持っていたワークを手渡すと晴臣はルーズリーフにさらさらと何かを書き出す。
何を書いてるのかと身を乗り出すと近づくなと言わんばかりにぺし、とおでこを押し返される。
「お前はその間にちゃんと乾かしてこい。」
そして水が滴り落ちそうな前髪を雑にかき上げられた。
男は黙って自然乾燥委員会委員長を務めるおれはいつもそのままなのだが見つかるたびに怒られる。
たしかに今日はいつもより拭くのも雑だったけどさあ!
「はあーい、ママ」
「お前みたいな息子は死んでもごめんだ。さっさと行け」
こちらに目線もよこさずにつれない態度に泣きながらドライヤーをかけにいく。
ざっと乾かして共有スペースに戻ると晴臣がソファーで足を組んでコーヒーを飲んでいた。
俺と同じようなフツーのスウェットのくせに絵になるやつだな…
「何突っ立ってんだよ、さっさと来い。そんでこれ解いてみろ」
晴臣は怪訝そうに眉をひそめたが、すぐに先ほど書いていたであろう紙を指差した。
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