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しばらく兄貴と他愛もない話をしていたけど、先生も寝てしまったのでとりあえず帰ることになった。
今日はもともと兄貴の家に泊まる予定だったので代行の到着の知らせを聞いて立ち上がる。
「政宗担いで先出てろ」
「うーい。せんせー、帰るよ。立てる?」
「…んー」
兄貴から投げられた車のキーを受け取ると先生を揺するがふわふわとした返事しか返ってこない。
こういう時の先生はちょっとかわいいとか思ってしまう。
にやにやしてしまいそうなのを耐えてぐだぐだの先生の腕を自分の肩に回すとなんとか立ち上がる。
「…さむっ」
お店の綺麗なお姉さんにお見送りされながら外に出ると春先とはいえ夜はやはりまだまださむい。
ほてった先生の体がカイロみたいだ。
先生に替えのシャツと上着借りたのは正解だったなあ、などと考えながら倒れこみそうな先生を支える。
代行の人達に先生と兄貴の車のキーを渡して先生と共に車に乗り込むとつい うとうとして気づかないうちに意識を飛ばしてしまっていた。
「…、ん、?」
次に意識が覚醒したときはもう日が昇っているようでカーテンからは光が漏れていた。
一瞬自分がどこにいるのかわからなくなったが兄貴の家のベッドに寝かされていたらしい。
隣のベットには布団にうずくまる先生の姿もあった。
兄貴が客間として使っている部屋から出るとソファーでパソコンを片手にコーヒーを飲んでいた兄貴と目が合う。
しかも眼鏡というオプション付き。
弟の俺がいうのもあれだけど、我が兄ながら感嘆のため息が漏れるレベルでいい男である。
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