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「ほら、ちゃっちゃと終わらせてこい」
「....うーー」
駄々を捏ねる俺を見かねた先生が、俺に声をかける。そもそも、俺が早く帰りたかった理由はこの人な訳で。
先生にそう言われたら逃げるわけにもいかない。
「....補習、いく」
「おう、頑張れよ」
渋々、といったように呟くと先生は少し笑って俺の髪をぐしゃっと軽く撫でた。
あーーなんか、それだけで補習頑張ろうと思えてしまう俺って単純。
「っしゃー!補習いくぜぇー!」
「ったく、俺にもそれぐらい素直だったら可愛げあんのになァ」
オラいくぞー、と俺の襟首を掴んだまま歩き出すクマちゃんにズルズルと引きずられながらぶんぶんと先生に手を振る。
先生は手に持ったバインダーをひらひらさせて見送ってくれていた。よーし、
「クマちゃんはやく!教室まで競争なー!」
「あ、オイコラ待て!」
クマちゃんの手から抜け出すと追い抜いて走り出す。補習なんてさっさと終わらせてやる!
ふへへ高橋慎太郎頑張りまっせ!
なんたってこれが終われば、1ヶ月前から楽しみにしてた先生とのお出かけじゃー!!
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