1. 高橋くんとセンセイ

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プリントと再テストを全力で終わらせると、そのまま駐車場のある教員寮へ向かって急いだ。 ぐるりと駐車場を見渡すと、車に寄りかかって薄暗い空を見上げていた先生を見つけて更に速度をあげる。 「せんせー!ごめんっ待たせて」 「ん、ってお前着替えて来なかったのか?」 どうりで早いと思った、と呟くと汗で張りついていた俺の前髪を軽く払った。 この学校は、とてつもなく広い上に校舎を中心にして東に学生寮、西に教員寮と正反対の位置にある。 着替えてこい、とメッセージが来てたけど、自分の自室に帰ったら更に時間をくってしまう。 「しかもお前、ブレザーはどうした」 「あ。」 教室の自分の椅子に着させたままだ。 正直、補習終わって急いでここに来る事しか頭になかったから全然気づかなかった。 「てへ?」 「ほんっとにお前....ちょっと来い」 「うぇっ?」 可愛く誤魔化した(つもり)が、先生は深いため息をつくと俺の腕を引いて車から離れると、教員寮のエントランスへ向かって歩き出す。 なにやらパスワードを入力して、エレベーターに乗って、着いたのは黒崎雅宗と書かれたプレートのある部屋の前。先生の名前だ。 つまり、何故か先生の自室に来てしまったということだ!
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