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「どんな記事の写真を撮るの?」
雪さんは、ガーデン用テーブルのカップに、
自ら育てたハーブティを注いでくれる。
「…………今は言えない」
「そうなの?芸能関係?」
「いや、違うよ」
カメラマンとは名ばかりの新人の俺は、
取材もかねて仕事をしなくてはいけない。
「……そう、スクープ撮れたらいいわね」
「うん」
…………__昔、
父さんが好きだった職場の部下。
不倫がわかったときは、
『この女を殺してやりたい』
とさえ思った。
母さんを苦しめるこの女を絶対に許さないと……
「夕飯まで食べていったら?」
「え?」
「準備してる間に菜月の相手してくれたら助かるもの」
「…………あぁ……」
だけど、
その父さんが心臓発作で亡くなってから
俺の環境と心情は少しずつ変わっていった。
「和哉君、ハンバーグ好き?」
「めっちゃ好き」
心臓発作と思わせた殺人を、
俺の母さんが企てたからだ。
「よかった、どうせなら泊まっていきなさいよ」
____俺が中学生の時だ。
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