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「おい!桃田!例の研究者のツラ撮れたのか?」
編集長と村上さんが、
慌ただしく他の取材記事用写真を取り込んでいた俺を 偉そうにゴツいてきた。
「……はぁ、篠崎美和のなら……」
いつか、こいつら をパワハラで訴える事ができたらどんなにスカッとするだろう?
「お?あの美人なアラサー研究員か?
どれだ?もう取りこんだのか?」
編集長は、パソコンのマイピクチャー
″ T感染症研究所 ″ を勝手に開く。
「へー!やっぱり知性的な美女だな!お前どうやってこんなアップで撮ったんだ?まるで記念写真だよ」
____誰も、
この涼しい顔をした篠崎美和が
俺とヤってる最中に撮られた顔だなんて思わない。
「たまたまチャンスがあっただけです」
それほど、俺だけが乱れて、
何度も果てさせられた夜。
『デジカメ持っていってて良かったよ。ブレずに済んだし』
篠崎が作った媚薬を使用したわけじゃないのに、興奮が何度も何度も襲ってきて、
トイレの個室で俺は、
何度も、
見えないはずの空を見たような感覚に陥っていた。
『私だって、薬は使ってないわよ。
それだけ相性がいいのよ。
また、会いましょう』
感染症とは別の成分を研究する女。
根っからのエロ女なのかもしれない。
その女に、どうやら気に入られてしまったようだ。
「…………何、ニヤニヤしてるんだ?聞いてるのか!?桃田」
はっ!
ヤベ、聞いてなかった。
「今、パニック寸前の新型インフルエンザだけどな。
あれは、やっぱりT感染症研究所の生物兵器だって噂だぞ」
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