6/38
前へ
/38ページ
次へ
「新宿に面白い店があるのよ」 篠崎美和が運転する赤いクルマは、 ランボルギーニのカウンタックとか言うやつで、 とにかく目立つ。 フェラーリと並ぶ人気のスーパーカーらしい。 「まさか、ゲイ.タウンじゃないよな?」 そんなに儲かる仕事なのか?研究って。 そもそも ひっそり研究しなきゃいけない人間の癖に、こんな車に乗り回すあたり、 本来は目だちたがり屋なのかもしれない。 「あら、よく知ってるわね、田舎者の癖に」 「うるせぇ」 ″ 面白い店 ″ 新宿二丁目なら、どーせゲイの店だろう。 もう、ゲイはたくさんだ。 ニューハーフももちろん見たくない。 飲むなら普通の店がいい。 立体ではない駐車場にクルマを止めて 篠崎は、また、俺の腕をとって店に入っていく。 『やるだけなら、ホテル真っ直ぐ行ってくれた方が話早いんだけどな』 「いらっしゃいませー!あ、美和!」 ビルの地下にあるその飲み屋は、 入ってビックリ。 店員も、 客も、 『女ばっかり……』 唖然と、立ちすくむ俺を愉快そうに見て笑う篠崎。 「今日の研究材料はレズビアンよ」 もう …………勘弁してくれよ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加