46人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「なぜ、わざわざこの記事を載せること知らせに来たんですか?勝手に発売したらいいじゃないですか」
″ 載せたければ、載せれば良い″
タブレットはもう見ないで干していた洗濯物を取り込み始める。
「奥さん、専業主婦?」
村上という男は、人の敷地内でタバコを堂々と吸い始めた。
「…………それが何か?」
昔の事件で接触した記者もイヤらしかった面はあったけれど、
ここまで厚かましくはなかった。
「依頼主に手を出すカメラマンなんて、仕事なくなるよ。売名行為を目的としたタレントならまだしも……」
「…………水城は、才能がありますので」
……何が言いたいの?
ただのうるさいマスコミではなさげな村上という男。
早く追い返したい。
「カメラの才能なんてもう重要視されてないよ。今じゃデジタル化で、どんなヘボい写真も加工でいくらだって見映えのするものに変身できる、
絵画とは違うんですよ」
「だから、何が言いたいの?」
私達の生活を脅かすのは、
魅惑的な小悪魔や、
ウィルスだけじゃなかった。
「信頼性がなくなったら、おしまいってこと。
奥さん、この記事 買ってよ」
人の蜜に群がる、
獰猛なスズメバチのような人間も、
必ずどこにでもいるのだ。
「…………お断りします」
最初のコメントを投稿しよう!