母性

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「桃田、怪我してましたね?アレ、奥さんがやったの?」 助手席の窓から、また メンドクサイ事を喋り出す村上。 「違います、急いでますので」 この人の目は、 昔知り合った茶旗記者よりも、 さらに歪んだ好奇で埋め尽くしているような気がして とにかく苦手……。 振り切ってでも、車を走らせようとしたのに、 「ちょっと?!なに勝手に乗り込もうとしてるんですか?!」 「記者のカンだよ、なんか大変な事起きたんでしょ? 同行しますよ!」 私の隣にずけずけと座り込んできた。 「降りて!」 プップ____!! と、 路駐していた私に後ろから非難のクラクションが鳴り響き、 「ほら、奥さん、早く行かないと!!」 「付いてきても取材は受けませんから!」 仕方なく村上を乗せて研究所へ向かった。 こんな男でも、 一人よりかはマシだったのかもしれない。
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