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「今どき、暗証番号なんて意味ないだろ?」
篠崎美和が番号を入力して共用の入り口を開けている後ろで、村上がまだ、ふて腐れていた。
「そうね、最新じゃないわね。生体反応認証がベストなんでしょうけど……
だけど、ここは、住まいではないし、金銭は置いてないから」
住まいではない?
別荘みたいなものなのか?
この女、いくらお金持っているんだろ?
益々、桃田容子を思い出して 重たい気分になってくる。
「水城の子供に再会したら、さっさと戻ろうぜ、俺は記事を書かないといけない」
「製薬会社とのことは書かない約束よ」
「書くのはそこじゃないよ」
篠崎の後を付いていき、三人エレベーターに乗ると、
三階で止まって開いた先に人影が見えて驚いてしまう。
「あっ!」
「美和っ」
「えっ?!ユウさん!?村上さんっ?!」
「ちょっと?!何であなたがここにいるの?!」
マンション307号室の前に、
桃田一哉と、
その妹の律子ちゃん、
そして、見知らぬ男二人が立っていたからだ。
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