40人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんな普通のマンションでウィルスの研究してたの?」
痛い所を疲れた俺や村上さんと、
何だかつまらなそうにしてる律子や電車マニアを押し退けて、
ユウさんは、中に入って井上博士に話しかけていた。
「ここは、美和の父親が経営してる賃貸マンションなんだ。
だから、この階には誰も住ませてないらしい。」
俺たちも、どうしようもなくて、
村上さんを置いて、部屋の中に入る。
「金持ちの娘って感じしてたもんな。
あの女、何であんなに菜月にこだわるんだろ?」
サンプルを探し当てて、
それを丁寧にケースに納めながら、
井上博士は、
ちょっと悲しそうな顔をする。
「美和は、自分の幼い娘をインフルエンザで亡くしてしまったんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!