本質

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俺は、小さいときに映画マトリックスを観て、 難解なその映画のあらすじはさておき、 支配されたものから、脱出して新世界を描こうとするネオに憧れたものだ。 ネオは この世界がコンピューターによって作り出された仮想の世界だと知り、救世主として崇められ、 非日常的なアクションを展開しながら敵対するエージェントと異質な空間での戦いを繰り広げていく。 俺は、 ネオになりたかった。 なのに、 今、 俺の下半身は、情けないことに 心ひかれていた16歳の律子ちゃんの貞操の危機に直面しているのに、 めちゃくちゃ反応しまくっている。 俺は、 きっと、 どんなときも救世主にはなれない。 「おい、口開けてみてるな」 「えっ、……」 この、女みたいな顔をした水城がけしかけた少女の悲劇 「奴等は今無防備だ。カメラも見てない」 俺が、 ヒーローになれるチャンスかもしれない。 「俺は右、お前は左」 水城が、そっと、着せられていた病院服を脱いで、それをひねって紐のようにしていた。 「男を縛る趣味はないんだけどな」 ニヤッとしたその、顔も妖艶で見たものをハッとさせる。 『よしっ!!!』 あいつらがフル○ンの今なら、 二人でやれるかもしれない。 「!!!つっう″″う″″う″″」 水城が、右側で律子ちゃんを押さえていた若い方の首を絞め始め、 「きったねーもん見せんじゃねーぞ!!!」 俺は若くない方の挿入寸前の後ろ姿に思い切り飛び蹴りをした。 マトリックスのネオのように、 空間をスローモーションで、 飛んでるような気がした。image=488502160.jpg
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