本質

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そして、 俺の頭の中は、 マトリックスのネオから、 「マン.オブ.スティール」のスーパーマン.ケントに変化してしまっていて、 自分は無敵のような気がしていた。 「クソッ!!騙したなっ!!」 即席の二本の紐で、男の首と両手を素早く縛り上げた水城は、 「ユウさんひどい!!」 俺の律子ちゃんになじられながらも、 彼女の乱れた衣類さえも手早く直してあげていた。 「このネズミがぁぁぁぁ!!」 俺は、フル○ンでも敵意をむき出しにして反撃してくる男に、 再びネオの空間キックを食らわせた。 (あくまでも気持ちだけ) 「イッちまえ!!エージェント野郎!」 そんな俺を見て唖然としていた律子ちゃんを、 水城は、グイッと引っ張って、 「ここから出たら、救急車を呼べ! Tウィルス研究所でバイオハザードが起きたと」 縛った研究員から取り上げた携帯電話を 持たせて、来た方へと押しやった。 「えっ!!ユウさんはっ?!」 俺も、エージェントの着ていた服を上から着て、入所許可証らしきものも奪い 「俺は 和哉と菜月と雪を取り戻す」 一人、 上半身裸で、 無謀な行動に出ようとする水城に、 あるならば、 真のイカれたヒーローの勲章を与えたい気持ちを抱きながら、 躊躇う律子ちゃんの手を引っ張り 「絶対に冒されていない助け呼んで見せるからなっ!!」 研究所の入り口の方へと向かっていった。 この世界の全てが、 エイドリアンに汚されてないことを信じて。
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