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「狂犬病……?」
犬から人へ感染するという、飼い犬の予防接種が義務付けられている病気……
「それに、和哉君を感染させて、狂暴化させるというの?!
あれは、発症したら必ず死ぬ病気なんじゃないの?!」
和哉君を好きなはずの篠崎美和に、
まだ、完全にしっかり立てない体で迫り寄ると、
「だから、ここをどこだと思ってるの?ウィルス研究所よ?」
篠原は、エイドリアン共にクスリと笑って見せた。
「美和、君の研究していた狂犬病の特殊ウィルス、あれは発症してもワクチンで消滅するタイプだったね」
そして、エイドリアンは優秀な助手を誇りであると言わんばかりに、
その女性にしては、広めの肩をポンポンと叩いていた。
「ええ、これこそが殺人ウィルス。生物兵器。
一般人にばらまく新型インフルエンザやエボラや天然痘とは違う。
自国の兵士用としても使える狂暴化ウィルス」
…………どこまでも、
おそろしい研究所に、恐ろしい研究員……
悪魔の開発を自慢げに話す篠崎美和を、
エイドリアンはさらに褒め称えて
「君が男の助手なら、本当に良かったのに。
では、
君がそれを桃田和哉に試している間に、私はエボラ出血熱に有効なワクチンを製造することに専念させてもらう」
更なる金儲けのために、
新たな研究を試み始めるらしい。
「……確か大学時代、井上は、ゆかりとと共にエボラ出血の研究をしていたよな?」
学者らしく、
新たに、世の中を震撼させているらしいウィルスの名前を二度も口に出している。
「ええ、そんなデータが残ってますね」
その殺人ウィルスを、死滅させることのできるクスリを発明したのは、
井上博士らしい。
「井上に、そのクスリのデータを再立証してもらう。
だから、まず狂暴化きた和哉には、
他人の水城から殺害してもらいたい」
新型インフルエンザに、
狂犬病、
エボラ出血熱……
日本がいずれ、凶悪化したウィルスに支配されてしまう計画は、
やはり、
ここから生まれてしまっていた____
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