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___発砲すれば、
間違いなくそこには惨劇が待っている。
命令されるがまま、
上品な口のサイズに合わない拳銃をくわえていた雪さんの絶望した顔が、
死へのカウントダウンを物語っているようだと思った。
エイドリアンが、選別の初回に選んだのは
俺の初恋の人、
雪さん____
エイドリアンの顔が紅潮し興奮をマックスに迎えて、
サディスティックに、
人を殺す時の喜びを満喫している様子を見て、
「お前みたいなアバズレは新世界には必要ない!」
もう、
ダメだと思った。
もう、
あの人を救うことはできないんだと、
そう、
諦めかけた時だった。
「エイドリアン!!もうやめなさい!」
エイドリアンの思い出のなかの、唯一の汚れなき女性、
井上ゆかりさんがそう大声で叫んで、
悪魔の動きを制御した。
「あなたが殺したかったのは、
人の命を奪うウィルスでしょう?」
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