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胸を抱えて苦しむエイドリアンが、このまま死ねばいいなんて思えなかったけれど、
「__B2より緊急発令__」
「エボラ出血熱キャリア所内を逃亡中__」
もし、
この男が今、いなくなれば、
現在世界を震撼させているパンデミックも、
これから創られようとしている差別的な世界も、
私と、ユウと、
菜月を引き裂くものも、
きっと、なくなる____
そう思った私は、
悶え苦しむエイドリアンをもう一度振り返ることもなく、
真っ直ぐにユウのいる方へ向かった。
「ゆかり、
待て」
まるで、飼い犬に呼び掛けるような止められ方をしても、
振り返らなかった私の耳に、
「裏切りは許さない」
世界が破裂したような銃声が、
容赦なく飛び込んできた。![image=489361726.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/489361726.jpg?width=800&format=jpg)
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