3人が本棚に入れています
本棚に追加
6月30日18時00分
僕、飛鳥 凛太郎10歳、小学5年生
塾から帰宅途中、家まで100メートルの所で人だかりが。
住宅街でひときわ大きな家から
20代の細身の青年が警察官と出て来た。
「あの事件の容疑者らしいわよ」
「オタクでニートだったらしいわね」
「よく小さな女の子を見てたって、何回も通報されてたから」
「やっぱり、犯人だったのね」
野次馬の主婦たちがそう話していた。
半月前に僕の通う小学校の1年生の女の子が、河川敷の草むらで遺体として見つかった。
(何回か、お兄さんと話したことあるけど……犯人? ただの子供好きだと思うけど……人は見掛けによらないのかな?)
僕は他の道から帰宅することにした、右の道を入った その時、携帯電話が鳴る。
差出人は飛鳥 早智恵。
8歳になる僕の妹からだ。
メールには写真が添付されていた。
ベッドに横たわる妹の横でカメラ目線のピエロのマスクをした男とのツーショット写真。
早智恵の表情は確認出来ないが、写真に写る男の手は血だらけだった!!
「……早……智……恵……」
「お兄さんは犯人じゃない!」
呆然と立ちすくむ僕、何故か涙が出ない。
写真の下に赤い下を指す絵文字があり、10行くらい下に赤い文字で
‐助けて お兄ちゃん‐
「……あ……ああ……早智恵」
僕はその場で泣き崩れた。
電信柱の下で膝を抱えて携帯電話を抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!