気配…

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廊下で話声がする 「あれは?」 黒ずくめの男数人に囲まれた アラブ風の衣装をまとった男が一人 かっぷくがよく、指に金の大きな指輪が多数光っている その男と話してるのは 服装からして あれはもしかしてこの船の船長かな? それにもう一人船員がいる ・ 「この領海は海賊が多いが まだもう一隻の護衛艦の到着が遅れてるのかね」 「心配のしすぎだとは思うが 私のボデイガードも含め この船の搭乗してる 数人のセキュリテイ会社の者が 今日の半日休暇の間にアクシデントで 船に乗り遅れた事だ まあ、ヘリですぐに到着予定だ」 「警備は 少々手薄ですが ご心配には及びません どうか ご安心を」 「たのんだぞ」黒ずくめの男達を引き連れて 男は立ち去る 「船長」 「ああ なんでも部族間の争いで2度命を狙われたそうで 最近は敵側の部族に狂信的なテロリストも加わって少々、心配そうだな  今度の旅は 仕事と慈善活動らしいのだが 途中で 難民キャンプに大量の援助物資を届けるとか」 「こんな時でも慈善活動に熱心なのはイスラムの教えで、喜捨(ザガート)するという話だが 「表向きは この船に乗ってる事自体はシークレット 秘密にされ いつも以上のセキュリテイが張られてる」 ルルル・・ 「おや、何かあったのか? もしもし」 懐のポケットからスマートホンを取り出す船長 「船長 複数の難民船が救助を求めてます 護衛艦だけでは 少々 手が回らないそうです」 「そうか ではいつものように 護衛艦に彼らの手当てと検査を頼んで それから、こちらでもカバーだ 前に麻薬の密輸人が紛れこんだり、海賊の偽装もあったからね 特に今は命を狙われてるVIPもいる事だし」 ・ 早速 護衛艦では 複数の難民船の検査が始まっていた 他にも 体調の悪い者の治療や食事の準備 ・ そして・・難民の中に紛れた者たちが ヒソヒソと話す 「ふん、やっぱりこの麻薬の荷物を見逃したな そうそう 高値で売れる女子供は 家族だと言って バラバラにされないようにな それから あそこの連中は臓器売買用だ」 そんな話をする者達を 今度は別の男達が 狂気を帯びた目で見ている 不気味な笑みを浮かべていた 「合図はもうすぐ・・ククク 惨劇の始まりだ」
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