シャンデリアと血のシャンパングラス

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豪華船の大きなシャンデリアの中に押し込めらて 飾りのように 死体が二つ 白い華やかな装飾のシャンデリアを赤く染めながら血が滴り落ちている その下にちょうど シャンパングラスのタワーがある ・ シャンパンタワー ちょっとしたミニイベントのもの シャンパングラスを一つ一つ並べて 山の形に組んで 上からシャンパンを注ぎ 注いだグラスを 乗客に配ってゆく 本来なら 乗客達のまなざしで包まれて 船の乗員が重々しく コルクを抜き 炭酸の淡い金色のシャンパンで満たされるはずの 巨大なシャンパンタワーは 今は 赤い赤い血で満たされる 「ひ!」「だめだ!柘榴大きな声を上げたら いけない!」小声で 大事な従姉妹である 柘榴の口元を押さえる ほんの数時間前までは 夢のような旅の時間だったのに 今は・・・ ・ 豪華客船 夢のような時間の中にいた 船の汽笛に 青い海 空の青と海の中を波飛沫が弾きながら 進んでゆく 周りの乗客の笑い声が絶えない 「ぬこたん達は?」 「元気にしてるわよ。 ほら 欠伸をしてる」 スマホの回線を通じて 流れてくる映像 留守番中の柘榴の家族が 映像を撮って流してくれたらしい 「見て ジャンプしてドアを開けた!」 横棒タイプのドアノブにジャンプするなり それの両前足でとらえ 扉を開ける 微妙に開いたドアを前足で チョイチョイと引き寄せて 開く あとから 他の4匹の猫もワラワラと後に続く そして 名前を呼ばれて振り返り 餌の入った小皿に向かって  ガニマタで 猛ダッシュする後ろ姿が映し出される 従姉妹である 2つ年上の柘榴(ざくろ)は楽しげに 「おちりと尻尾!可愛い」スクスと笑う ザザン・・と波音がする  「ふう!これだけ大きな客船だと あまり揺れが少ないみたい」とやや短めの花柄スカートを風になびかせて柘榴(ざくろ)は こちらを向いた 風がスカートをめくって、むき出しにならないか と 従兄弟としては 少々心配をしながらも どこかでそんなハプニングを期待してる自分に気がつき スケベ心を反省しきり ・ 甲板の奥にあるガラスで覆われた場所 テイーラウンジに移動して お茶を頼む 豪華な場所 ・
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