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『明日5:00には起きるけど大丈夫か?ちょっとでも寝ろよ。』
『はい。おやすみなさい。』
君が寒くならないように、ストーブにいつもより少しだけ多く薪を足してから、寝室に入った。すぐに眠ろうと思ってベッドに横になっていても、なんだか寝付けなかったから、ワインを少しだけ飲もうと思いたって部屋を出た。
部屋を出てすぐにあるリビングの一角で、オレンジ色のライトの明かりが君だけを仄かに包んでいた。なんとも言えないくらい美しい光景だった。
俺が声をかけて、この美しい光景が壊れてしまうのが怖かった。だから、しばらく見つめてから、黙って部屋に戻ろうとしたのに、君は俺を見つけてしまったんだ。
『遼介さん、まだ、起きてたんですか?』
『うん。ごめんな、邪魔しちゃったかな?寝る前にちょっとだけワインでも飲もうかと思ってさ。柊哉、飲まないよね?』
『ワイン、好きです。』
『じゃあ、一杯だけ付き合ってくれる?』
俺達は、お互いについて話ながら、ワインを飲んだ。お酒が入ると君は少しだけ饒舌になる。それで俺に自分の事をたくさん話してくれたんだ。
美術大学の面白い先生のこと。
主に人物画を描くのが得意なこと。
絵画展で1度だけ入選したこと。
大学を卒業したら、高校で美術の先生をする事が決まっていること。
いずれは絵だけ描いて暮らしていきたい。と。
それから
一緒に暮らして2年になる彼女がいる....ことも。
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