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君をこのまま繋いでおくにはどうすればいいんだろう?
「....ん.....あっ...」
「...待って....一緒に......イク...から..」
柊哉の意識が迷子にならないようにそっと、そっと腰の動きを合わせてゆっくりと動くと、柊哉の白い肌に写っているぼんやりとした俺の影が、揺れながらその肌を隠してしまうのが惜しくて、俺は仰向けに寝ている柊哉の膝に手を置いて、背筋を伸ばした。
「あっ........イクっ」
「待っ.....」
まだ待って、柊。もう少しだけ君といたいんだ。
「柊......柊哉........」
この行為を、“ただの性欲の処理だ”ってもう一人の柊哉が言う。だから、意識を飛ばした後に戻ってくるもう一人の君は、行ってしまうんだ、彼女のところに。
「んっ。......っ」
「柊哉。」
そっと目をあけた君がもし、俺の柊哉じゃなかったとしても、俺が、どんなに君を愛しているかを伝えたい。だから、俺は胸の奥にある少しの罪悪感に気づかないふりをして言うんだ「柊哉。愛してる。君だけを愛してるよ。」と。
だけど、そう言ったところで、きっと何も変わらない事はわかっている。
だから、今日も俺は、君が部屋を出て行くその足音を、君が靴を履く時の癖のあるその音を、玄関のドアが静かに閉まる時に微かに響く重い音を、それが閉まったあとの哀しいくらいの静寂を、愛しい温もりが残るこのベッドで一人、聴くのだろう。
これはきっと“罰”なんだ。同性の君を愛してしまった俺への罰。「行くな。」と何度も言おうとした。泣いてすがったら、君は行かないでくれるのか?とも考えた。ベッドに縛り付けてしまえば......そんな一時しのぎとも思える方法でさえも何度も頭をよぎる。
だけど。だけど柊哉、君は俺だけのものじゃない。君の心のどれくらいの場所に俺はいるのだろうか。
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