プロローグ

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柊哉は、俺と彼女の間で揺れている事に耐え切れなかったんだと思う。 その細い身体を切り裂く代わりに、柊哉は自分の心を半分に切り裂いた。あの時俺が君を愛さなければ、君の心が壊れることもなかったんだろう。 これは、罰だ。 柊哉を愛してしまった俺への。俺を愛してしまった柊哉への。 「柊哉。寒くない?雨が雪に変わったみたいだ。」 「ほんと?」 「ほら......窓の.....」 「ぁっ....初雪......?」 「うん。」 「....遼.....外で.....」 両腕を伸ばしてそんな可愛いわがままを言うから、俺は柊哉が寒くないように、薄手の白い毛布でぐるぐる巻きにして抱き上げたままベランダに出た。 窓の外の世界は大粒の雪が落ちてくるたびに、街の音を吸収して、白い静寂が積もっていく。 「見える?寒いからちょっとだけだよ。」 柊哉と見る2度目の初雪だった。落ちてくる雪に手をのばした柊哉が「綺麗。」そう言って俺の肩に頭を預けながら、うっとりと雪を眺めている。 俺は、手のひらにのせた雪のように、すぐにでもとけてしまいそうな柊哉を盗み見るようにそっと眺めた。俺の視線でとけていなくなってしまわないように。この胸の奥に芽生えた小さな罪悪感を包み込んだまま.....。 「来年の初雪も一緒に見ような?」 「.........ん。」
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