赤いべべ着た毬藻くん

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「しゃーないな…ひと寝入りしてから、脱出方法を考えますか。」 温かい床に背中を付けて上を向いたら眩しかったので、物置の方へ顔を向けた。 ケホ!ケホ!ケホ! 春の暖か空気を吸い込んで、いざ夢の中へ…と思ったら、空気の悪さに咳が出た。 「けぶっ!ケホ!くさっ!ケホ!」 この匂いって…煙草? 「ケホ!ケホ!ゲホ!ゲホ!」 俺、一応病み上がり…煙草、苦手なんだよな。 やべっ、咳止まんなくて涙出てくる。 人の気配と煙りの動く感じに、物置の屋根の上を睨み上げた。 「ケホ!ゴホ!其処、誰だよ!?ゲホ!煙草止め…ケホ!ケホ!」 ハンカチで口を押さえようと思ったら、ポケットがガサガサいった。 ヒョイと、口に煙草を咥えた男が頭を出した。 「嫌なら貴様が退け。此処は俺の特等席だ。」 「ゲホゲホ!退きたいのは山々だが…ケホ!締め出されてんぞ、俺ら…ケホ。」 「はぁ?」 煙草を物置の屋根で捻り消して、ピョンと飛び降りてきた男は………イケメンだった。
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