401人が本棚に入れています
本棚に追加
「しゃーないな…ひと寝入りしてから、脱出方法を考えますか。」
温かい床に背中を付けて上を向いたら眩しかったので、物置の方へ顔を向けた。
ケホ!ケホ!ケホ!
春の暖か空気を吸い込んで、いざ夢の中へ…と思ったら、空気の悪さに咳が出た。
「けぶっ!ケホ!くさっ!ケホ!」
この匂いって…煙草?
「ケホ!ケホ!ゲホ!ゲホ!」
俺、一応病み上がり…煙草、苦手なんだよな。
やべっ、咳止まんなくて涙出てくる。
人の気配と煙りの動く感じに、物置の屋根の上を睨み上げた。
「ケホ!ゴホ!其処、誰だよ!?ゲホ!煙草止め…ケホ!ケホ!」
ハンカチで口を押さえようと思ったら、ポケットがガサガサいった。
ヒョイと、口に煙草を咥えた男が頭を出した。
「嫌なら貴様が退け。此処は俺の特等席だ。」
「ゲホゲホ!退きたいのは山々だが…ケホ!締め出されてんぞ、俺ら…ケホ。」
「はぁ?」
煙草を物置の屋根で捻り消して、ピョンと飛び降りてきた男は………イケメンだった。
最初のコメントを投稿しよう!