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映見と黒田君が別れてからしばらく経ったある日。
その日は何となく仕事に集中出来なくて、いつもより早めに切り上げた。
時計の時刻はまだ6時半。
こんな日は、のんびり葉月と家飲みでもしたい気分だ。
そんなことを思いつつエレベーターから降りた俺は、ポケットの携帯を探りながらエントランスへと歩みを進めた。
と、その時。
一瞬、葉月の声が聞こえた気がして足を止める。
しかしエントランスを見回してみても葉月の姿は見えない。
……気のせいか。
そう思い、再び足を進めようとした時、人の気配を感じて柱の方に目を向けた。
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