第1小節

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微かに聞こえてくる 流れるような 旋律 どこから....? あたしは行くはずだった温室を通り過ぎ、路線変更する。 長く続く廊下を歩く内に、段々届く音がはっきりと鮮やかになっていく。 ポロン...... ポロン.... 少しずつ鼓動が 速くなるのを感じる。 いつもの学校の廊下が、何故か知らない場所みたいで いつもよりも 長く感じた。 「ここ.........」 音の鳴る方へ 鳴る方へ 辿り着いた先は 音楽室だった。 1年の頃に 2回だけ入った事はあったけど 何も無い 放課後に尋ねるのは 初めてで 「...............」 そっと ドアに耳を当ててみると 確かに 誰かがピアノを弾いている。 ~~~~~♪......... ゆっくりと 音を立てないように ほんの少し 「お邪魔しま~す...」 顔が半分 見えるか見えないかの隙間 あたしの目と耳に飛び込んできたのは 「……!」 春の光に包まれて 人形のように 美しい 髪をなびかせながら ピアノを弾いていたのは、鮮明に記憶に残っている 隣の席の 男の子だった 揺れる髪が 細める瞳が 踊る肩が 流れる指が 身体の全部が 艶やかに 音を奏でてる 覗き込んだあたしの視線は まるで吸い込まれるように 日向理久から 逸らせない 「綺麗.........」 思わず 零れた言葉。 ハッと両手で口を隠したが、途端に音が鳴り止んだ。
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