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「前から思ってたけど、多貴ちゃんって頭おかしいよね」
衝撃的な出会いを話した後、
むっしゃむっしゃとメロンパンを頬張りながら、呆れたように唯はそう言い放った。
「なっ!!!何よ!人がせっかく意を決して打ち明けたというのにぃ!」
唯は普段はほわほわ~お花畑~なゆるふわ系女子だが、あたしの前でだけたまに毒舌になる。
「多貴ちゃんの初恋がまさかあの天使だったとはね」
「へ?天使?ガーリック王子が?」
「嘘......多貴ちゃんてば、本当に知らなかったの?日向君、すっごい有名なんだよ」
唯の話によると、
日向理久 吹奏楽部部長。
人形のように美しい美貌は光が丘高校(通称:ピカ高)入学当初に一大センセーショナルを巻き起こしたという。
全ピカ高乙女たちがこぞって詰め寄り、てんやわんやの大騒ぎ。同学年はともかく、先輩のお姉様方からも絶大な人気を誇った。
「中学時代から本人は来る者拒まず!って感じで、彼女も居たことは居たらしいんだけど、どれも1週間足らずで終わっちゃったんだって」
ちょ、超絶プレイボーイじゃないですか..........。
あたしはどっちかって言うと、手繋ぎたくても繋げない系な『ぴゅあ☆らぶ』のミナト君みたいなタイプが好みなんだけどな......。
「ん?でもさ、何で“天使"なわけ?」
「あぁ~それはね、日向君って実は音楽全般何でも出来て、中学の頃ピアノコンクールで全国一位取ったぐらいの腕前らしくて、『天使の指先』って言われてるの」
「天使の指先............」
桜吹雪をバックに サラサラの髪をなびかせて
日向理久が ピアノを弾くのか
思わずそんな彼の姿を想像してしまう。
「まあおまけにあんな顔だしね。まさに、天使!って感じだよね~」
「確かに........いや、でも。やっぱりあたしはちょっと気が狂ってたみたい!ありがとう唯」
「え?どうしたの多貴ちゃん」
バンッと机を叩いて立ち上がる。
そうだよ!何を血迷っているんだあたしは。
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