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「おかえり、りょうさん。」
いつもの笑顔、いつもの挨拶。
いつもの唇、いつもの感触。
いつもの…
「へえ、いろいろ聞かれちゃって大変だね。」
「彼女ネタなんてよくあるパターンらしいけどな。少し参った。」
「りょうさん、上手に交わせそうなのに。」
そうなんだ。いつもなら、どうってことない会話なんだよな。
少し俯いていると、隆は俺の頭を撫でながら話を続けた。
「明日もバイトだよね。いつもの時間だよね。」
「少し早めに来てほしいんだってさ。」
「へえ、相変わらずモテモテだね。」
「相変わらずって何だよ。」
俺がモテるだなんて、隆はいつからそんなことを思ってたんだろうか。
「コンビニの店員さんがさ、ずっとりょうさんのこと見てたんだってば。」
「コンビニって駅の向かいのとこの?」
「そうそう。すっごい胸でかい女の店員さんいるじゃん。
あの人さりげなくりょうさんにあたるようにレジ見張ってるもん。」
「そうだっけ?全然わかんないな。」
「生徒の子ってさ、可愛い系?」
この子は、嫉妬しているのですかね、教えて偉い人。
「純粋で可愛い女の子だよ。」
嫉妬している恋人って、なんか可愛く見えるんだよな。
だから、何も知らない振りをしたくなる。
「そうなんだ。若い女の子って無敵だよね。」
「そうだな。鈍感そうに見えて敏感な部分も持ち合わせてるしな。」
「ん?どういう意味?」
「そんなことより…」
俺は少し強引に隆を腕の中に引き寄せた。
「なあに。」
少し籠った隆の声に何故だか興奮してしまう。
「俺の好みは、可愛い系じゃないから。」
「そうだっけ。」
「お前は可愛いけどな。」
「そうだっけ。」
「そうだよ。」
今日は何処にも寄らなかった。
誰にも会わなかったし、まっすぐ家に帰ってきた。
家に帰ったら、少しだけ今日のことを隆に話した。
でも、久しぶりに何もせずにゆっくり寝るのは、やっぱり止めた。
だって今の俺には、こんな可愛い恋人が傍にいるんだから。
でも、あと数時間後には、ゆっくり眠れるかもね。
to be continued...
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