第六章【乙女】

6/20
497人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
震える俺たちを睨み付けてくる女達の視線は、まるで刃のように鋭かった。 この中で一番派手な格好をした女が腰に手を当て眉尻を吊り上げる。 こいつが妹かな。 「遅いですわ!わたくし達をどれだけ待たせる気ですの?」 「ひ、ッ」 思わず、とでも言うように足を後ろに下げれば、女は眉をひそめた。 「…そんな怯えた振りしても無駄何ですわ!…か、可愛いっだなんて思わなくてよ!」 何言ってんだこいつ。 「よ、よくお聞きなさい!わたくし達が今日こんな所に来たのは他でもありませんわ!お兄様の事です!!」 「は、はい…」 「あなたみたいな人がお兄様と結婚だなんて認められませんわ!ありえないですわ!わたくし達【お兄様の隊】を差し置いて!何様のつもりですの?ねえ皆さん?」 「…え、ええ!」 「…最低です!!」 何故かそわそわしながら俺たちを見る。 一体何だ。 「だいたいその格好は何ですの?お兄様の婚約者なのだから少しはまともな格好くらい出来ないんですの?」 「す、すみっ、ませ…ん」 「え、あ………そ、その通りですわ!まったく、反省なさい!」 「は、いっ…うぅっひ、く…」 「え、えと…あ、あれですわ…えと…「姫様」…何ですの?」 「……少しこちらに」 サッと集まる女たち。 それをビクビクを見つめる俺とトト。 何なんだろうな。 もっとこう陰険なやり取りを想像してたんだが。 平手打ちを炸裂されたり砂をかけられたり…そういうのはもしかしてやる気ないのか? それともああいう事するのは人間の女だけとか。 はは、やだやだ。 「…おい」 今のうちにと小声で問いかける。 「…トト、大丈夫か?」 「……だめ、で…す…」 死にそうな声だな。 いつ俺の背中が水浸しになるか気が気じゃないよ。 優しく腰辺りを撫でれば、トトの服を掴む力が少しだけ緩くなった。 可愛いな。 和めただろうな…あれがなければ。 さっきっからうん、聞こえてたんだよね。 キャピキャピした声。 「…きゃ、っそんな」 「ま、まぁ…分かります」 「…うふ、腐…ふふっ」 「やだ、もうッ」 「おほほほ」 一体… な に を し て る ん だ
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!