"くちびる"から、愛

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ためらいと迷いのない その動きに 僕の心臓の速度は増す 僕の唇は素直じゃなくて なかなか思うように 動いてくれなくて 「僕も、好き」 返せない言葉の代わりに 君の指を弱く握って 小さく頷いて意思表示 それだけしかできないのに 君は満足気に笑い もう一度「好き」と囁いて 僕を抱き締める 体も、心も、丸ごと また逞しくなった 君の胸に、腕に 僕のすべてを預けて 一回り大きな背中に 精一杯腕を回せば 見えない君の顔が 綻んだような気がした
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