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ジワリ、
傷口に滲むは
紅い血液。
痛い、痛い。
だんだんと染み渡る。
痛い、痛い。
胸のまんなかまで
忍び寄る痛み。
もういいじゃないの。
そのくらいにしてよ。
泣く強さ、なんて
とうの昔に忘れたわ。
コロコロ。
飴玉をひとつ
舌で転がす。
甘い味が
あたしの口の中
いっぱいに咲く。
少しだけ
口元を緩めて
痛みが去るのを
ただ待っている。
弱いあたしに
突き刺さるのは
切り口の痛みじゃない。
あなたがくれる
飴玉よりも
酷く甘い痛み。
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