悪夢の欠片で世界が狂ってもおばちゃんは変革しない。

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「懐かしいね。おばちゃんも若い頃に当たりを引いてね、アレを頼んだのよ。ほら、女子らしいアレを──」 おばちゃんの鉄則、人の話を聞かない。または自分の話ばかりを長々とする。 そして「アレ」が異常に多い。 おばちゃんの口はマシンガンのように言葉を放つ。チャイムが鳴るまで月たちが解放されることはなく、少女は愛想笑いを浮かべ特大のあきらめを背負っていた。 そんな気疲れがあった。 故にこの日、月の夢見が悪くても仕方ないのだろう。 ──◆─ 翌朝、月は夢の続きのような光景に遭遇していた。 通学路にアダルト雑誌やお姫様と王子様が並ぶ童話や漫画が捨てられていたのだ。それもトラックが二台来ても積みきれない量が。 なぜか道路にである。 それよりも驚いたのは、なんと車が歩道を走行していることだ。 危ない運転に不満を持ちながら月は道のきわを歩いていた。 車が近いために顔をしかめていると、登校してきた夜華が驚いた形相で駆けてくる。台風のように到来すると、こっちに来いと月の手は掴まれていた。 「なんで歩道を歩いているの。車に当たったら大変じやん」 「何を言っているの? 歩道を歩くのは普通のことでしょ?」

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